(特集)怪人二十面相が居た箱崎
……が、少し違うことに気がついた方はいらっしゃいますか。
( 「いつもの」正門を見るには写真をクリックして下さい )
上の写真は、2008年12月20日公開映画「K-20 怪人二十面相・伝」(監督・脚本、佐藤嗣麻子)のロケが行われた際の写真です。
本特集では、「K-20 怪人二十面相・伝」で金城武氏らと共演を果たした、九州大学箱崎キャンパスの建物を紹介します。九州大学の建物を見慣れた人にとっては、「この建物は!」とニヤリとせずにいられない「K-20 怪人二十面相・伝」の予習・復習にご利用下さい。
また、九州大学にて行われた試写会での佐藤嗣麻子監督ティーチンの様子は こちら で公開しています。
尚、本ページは、市原猛志様(ご紹介は こちら)・九州大学広報室様のご協力を得て作成されています。
正門 | 旧法文学部本館 | 旧応用化学(機能)棟 | その他
竣工 | 1911年 明治44年 |
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構造 | 煉瓦造 | |
建築主 | 九州帝国大学 | |
設計者 | 不明 |
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施工者 | 不明 |
弦書房, 2008, 62p.
九州大学のパンフレットなどの表紙を度々飾るこの門が出来たのは、九州帝国大学が設置された1911年。
映画では、本ページ冒頭に掲載された写真の通り、1世紀に亘って学生たちを迎え入れ送り出した門の質感も見事に再現されています(下段、左・中央写真をクリック)。
また、箱崎理系地区をぐるりと囲む柱のうち、福岡県西方沖地震でヒビが入るなどの被害を受けた一部は、修復された痕が確認できます(下段、右写真をクリック)。
竣工 | 1925年 大正14年 |
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構造 | 鉄骨鉄筋コンクリート 三階建 |
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建築主 | 九州帝国大学 | |
設計者 | 倉田謙 | |
施工者 | 岩崎組 |
弦書房, 2008, 62p.
正門を入ってすぐ左手に建つこの建物の屋上でも撮影が行われました。法文学部本館、応用力学研究所本館、言語文化研究院箱崎分室などを経、現在では閉鎖されています。
建物の周りには杭が打たれ有刺鉄線が張られているため中に入ることは出来ませんが、地下室排気口の格子や円弧状の庇、丸太を積み上げたような腰壁など、倉田謙作品らしい曲線を楽しむことが出来ます。壁一面の蔦が真っ赤に色づく秋は一見の価値が有ります。(下段写真はクリックで拡大できます)。
(市原猛志様・撮影)
竣工 | 1927年 昭和2年 |
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構造 | 鉄骨鉄筋コンクリート 造四階建 |
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建築主 | 九州帝国大学 | |
設計者 | 倉田謙・小野節三 | |
施工者 | 佐伯組 |
弦書房, 2008, 52p.
2005年10月に閉鎖された旧応用化学(機能)棟では、屋上や建物裏など様々な場所が撮影に使用されました。
1923年の怪火事件で全焼した工学部本館を再建する際、火災の危険があるとして工学部本館から切り離された応用化学(機能)棟は、階段教室や階段の傾斜に倣って配置された窓、スクラッチタイル、戦時中に施された迷彩の跡、水没した地下、排気口の意匠など見所の多い建物でもあります。
映画が撮影されていた頃は、学生教職員の間で「大型クレーンが入ったぞ、とうとう校舎解体か?」「応用化学棟から人が飛び降りた!」「応用化学棟の裏で銃撃戦をやっている!」と物騒な噂が飛び交いました。
(市原猛志様・撮影)
旧造船学実験室
(船舶海洋工学実験室)
竣工 | 1921年 大正10年 |
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構造 | 煉瓦造平屋建 | |
建築主 | 九州帝国大学 | |
設計者 | 倉田謙 | |
施工者 | 佐伯工務所 |
弦書房, 2008, 52p.
そのほかにも、旧応用化学(分子)棟屋上、旧応用化学教室棟周辺でも撮影が行われました。
煉瓦の壁に瓦葺の屋根、北東から南西方向に長い姿が特徴的な旧造船学実験室や、旧応用化学教室棟の建物の姿は、「K-20」公式サイトで公開中のトレーラーでも確認できます。
協力 |
市原猛志 様 ( 九州大学大学院人間環境学府都市共生デザイン専攻博士課程 NPO法人北九州COSMOSクラブ理事 NPO法人門司赤煉瓦倶楽部会員) ■ブログ 『北九州・福岡の近代化遺産』のつくりかた。 ■webサイト 地域文化博物館・高炉館 −近代化遺産・北九州情報等々サイト− |
参考文献 | 九州産業考古学会編. 福岡の近代化遺産. 弦書房, 2008 |