味 勝
■住所 : 福岡市東区筥松4丁目3-6
■営業時間 : 11:30〜15:00、17:00〜22:00(日祝定休)
 2008年2月 閉店

ボリュームのある食事、温かい接客、九大生と長きにわたり深い付き合いをしてきた名物定食屋、味勝。ご主人・勝義さん、奥さんの喜代美さんの二人で長らくお店を切り盛りされてきましたが、残念なことに2月下旬をもって閉店するそうです。
お店の思い出、九大生との思い出を、味勝の母・溝口喜代美さんに語ってもらいました。


◇お店の沿革

45年前より二階で下宿屋を営んでおり、昭和53年、「味勝」を開店。屋号の由来は「味」とご主人・勝義さんの「勝」をとって「味勝」とした。以来、日曜祭日以外は一日も休むことなく、お腹をすかせた九大生に愛情にタップリの食事を振る舞い続けてきた。

■工学部・農学部・理学部・アメフト部や陸上部

― お店によく来ていた学生は?
「前は部活はアメフト、いまだに交流がありますけど、アメフトとか陸上とか、今はちょっと遠のいてますけどね。」
― 研究室だと?
「今までは工学部、農学部、で工学部が(伊都キャンパスに)移動したから、今は農学部と理学部ですね。」
― 昔から九大の学生がほとんどでしたか?
「昔はそうですよ。今はやっぱり工学部が(伊都に)行って(しまって)、昼間は工事のおじちゃん、サラリーマンていう風になって、それでちょっと違和感ていうのが私の中でできてきて…」

■優しい九大生

「やっぱり九大生さんていったら優しいんですよね、皆さん。もう嫌な思い一つしたことなくて、それで30何年間(お店をやってこ)られた。一般の人とか、特におばちゃんの相手は私ようせんですよ(笑)。いや、おばちゃんはもう優しくない。」
「(一般のお客さんは)やっぱやりにくいですよ。例えば(ご主人が)病気して入院したら、九大の方は協力してくれるんですよ、『おばちゃん何で今日ひとりとー?』って、で、こうこうって(事情を)言うと、メニューをまとめてくれたり、そんな感じで(手伝ってくれて)。でも一般の人っていうのは…九大関係の人の優しさでずーっとやってきたから、一般の人のあれには揉まれん。」

■閉店の契機

「そういうのもちょっとあって、お客さんの層がね、ちょっと私たち違うなと思ったから、それでもう、もう辞めようと。お店ももう古いですからね。」
「(閉店のお知らせを)2月にって書いて貼っても、何日って書かないんですよ。聞かれても返事しないし、で、もういつまでって決めてなくて、あ、もう今日閉めようって思ったら(店仕舞いしようと)、、、でないと大変なことになるんですよ。…年賀状に書いて出したら、即、もう何日だって、お一人の方はご家族連れて来て…2月のうちにさらっと辞めますから。でないと私もしばらく立ち直れない。あまりの寂しさに。だからその日(閉店の日)に向かっていくと、今でもめいってしまいそうになるんですよね、だからサラッと閉めて、、。」

■卒業式

卒業式にはビールを冷やし、つまみを準備し、卒業証書を持ってお店にやってきた卒業生の卒業を一緒に祝った。「差入れを持って行って」と、研究室に卒業祝いを贈ったこともあるそうである。

■九大生との絆

「(昔のお客さんが)結婚してからも奥さんと一緒に遊びに来られたりしますけど。だから、うち二階が下宿屋してたから、その下宿した人たちが今教授・助教授・助手とか何人もいるわけですから、それで…」
「一人一人深いんですよ、うちはお客さんと。だから卒業してからもずーっと。で結婚してもその奥さんと仲良くなって。」
「(お店の)住所が筥松4丁目3-6で、(ハガキの宛先に)味勝(と書いて)もないし、(私たちの)名字もみんな知らないんですよ、お父さんお母さんって(呼ぶだけで)。だからお父さんお母さんて、葉書の宛名で郵便屋さんが持ってきてくれたけんですね、それでNHKで出したいって(取材を受けたことがあります)。」

■メニュー

― 開店当時からメニューは変わらないんですか?
「もう全然ですよ。値段もほとんど変わらないから、きついんですよ。…お野菜なんかも、ちゃんとしたお野菜使ってますから、だから身体には絶対いいんですよ。最近ね(学生から)、『おばちゃんこれいくらいくらで安くて売ってあるよ、おばちゃんもそれにしたら』って言われるけど、この前ちょっとカチーンときて、『おばちゃん(は)みんな元気になるために料理をつくってるんだ』って偉そうに言ったんですよ。だからそんな安くできるはずはないって、だから安く作ってたら身体に悪くなるって、『そういうことはようせん』て言ったと、ちょっと偉そうに(笑)。絶対病気になるんですもん、ちゃんとしたお野菜食べないと。」


名物メニュー・味チキン勝定食

■昔の九大生、今の九大生

― 昔の九大生と今の九大生で何か違ったりは?
「いや、それはないですよ。波はありますけどね、何か最近違うなーって、そしたらまた元に。不思議な…でもほとんど私は嫌な思いをしたことがないです。」

■九大生へのメッセージ

「伝えたいことは、もう感謝だけですよ。九大の方がお客さんで来てくれてたから、今まで(30年以上)できたって。」


30年以上に渡りやってきたお店を閉める心境がいかに苦しいか、お母さんの語り口の端々から感じられました。色々な思い、色々な思いやり、色々な思い出が交錯し、「この日」と決めてお店を閉めるのは心苦しいようです。
閉店するのは残念でなりませんが、長きにわたり九大生を愛情で包んでくれた勝義お父さん・喜代美お母さん、本当に有り難うございました。

■□ 味勝写真集 □■

 ※ 味勝に関する写真は こちら をクリック(別ウィンドウでスライドショーを表示します)

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