カビリア・カフェ
■住所 : 福岡市「城南区」別府団地入口
■定休日 : 092-851-9880
■営業時間 : 11:00〜23:30

六本松キャンパス正門から信号を二つ渡ったバス通りに面してある「カビリア・カフェ」。2階へ階段を上がり扉を開けると、アンティーク調の席が並び、ステレオからジャズが流れている。ちょっと大人で異世界な雰囲気でありながら、なぜか落ち着く。
マスターの屋敷正弘さん(61)と素子さん(54)が経営されている。

■お店の沿革
 お店を始めたのは昭和48年。その頃は1階で、カフェとブティックがつながったお店であった。もともと自宅だったこともあり、開業7,8年後にカフェのスペースが広がった。そして今から11年前、現在の建物の2階になった。
 「一階にお店がある時は、バス待ちの子がお店の中を覗いて入って来てくれてたんです」と笑顔で素子さんは話す。
■猫
 カビリア・カフェといえばかわいい猫のロゴ。昔、マスターが「コーヒーを飲んでいる猫を書いてほしい」と言い、デザイナーに書いてもらったそう。猫が載ったTシャツやトレーナーも作っていた。今日は素子さんが猫の付いたかわいいエプロンをしていた。
■メニュー
 ケーキセット(650円)…いくつものケーキの中から一つ選べる。しかし、どれもおいしそうで迷ってしまう!  ビールセット(650円)…豪華なおつまみが付いてくる。先生たちもよく頼んでいるようだ。
 昔はキリマンジャロやモカを150〜160円で出していたが、今はコーヒーは濃いもの・薄いもの・オリジナルブレンドしか出さなくなったそうだ。「最近はコーヒーを飲む習慣がないでしょう?今はスタバの甘いのが好きよねぇ。」
■学生運動
 マスターはずっと六本松に住んでいるため、学生運動の頃のことも知っていらっしゃった。「催涙弾が投げられていて、屋根から見ていたら涙が出るほどでした。」今の日常の学生生活では考えられないことも、昔は、ここ六本松でもあっていたんだなぁ。
 「昔の方が元気が良かったし、大人っぽかった。今の学生はかわいい。」と素子さん。「あと、かっこよくなりましたよね。」昔の九大生は、服装で九大生と分かったそうだ。
■現在―ジャズ研究会
 3,4年前から九大のジャズ研究会は毎週水・金に演奏をしている。これを楽しみにしてくるお客さんもいるという。クリスマスには有料1000円でライブを行い、いつもとはまた違った緊張感で演奏しているそうだ。
■現在
 今も先生が学生を連れて訪れるという。「ランチに先生たちが結構来てるから、これから大変。」夜にも、独身の先生たちは何人か来ている。
■九大生との思い出
 今も九大生や先生たちが足を運ぶこともあるそうだが、昔はもっと学生が来ていた。
「昔は4月のオリエンテーションに貸し切って使ってくれるサークルが多かったんですよ。2時間で区切って、いくつものサークルが来ていたんです。学生が自己紹介をしているのを聞きながら仕事をしていて、楽しかった。15年くらい前の話ですが、4月は予約がいっぱいで、休みがなかったんです。」
「新歓中、満席でヒューズが飛んだこともあったんですよ。なんとか灰皿の上にろうそくを点けたら、学生たちは大喜びで…電気屋さんを呼んで、一時間後にやっと電気が点いたら、また大盛り上がりで(笑)。」

学祭の時期になると、バイトの学生がチケットをくれて、食べに行くこともあった。昔はこのお店でバイトをする九大生も多く、ここで出逢って結婚した学生も三組。結婚式に呼ばれたことも…。九大生との思い出は絶えない。
■今も訪れる九大生
今も訪れる卒業生は多い。結婚して、家族を連れて来る人もたくさんいる。
「『〜十年ぶりです』『九大卒です』と言う人も、『よかったカビリアがあって』という人もいました。」
中には奥さんと息子さんを連れて来る人もいた。「『お父さんはここに来てたんだよ』って話す卒業生もいました。それで、今は売っていない昔のチケットをお父さんが買って、工学部に入学した息子に持たせたんです。息子は『ここに通うんだ』って言われて、半強制的に来てくれてたんですよ(笑)。」

特に今年は例年より多くの卒業生が来た。今年、もう六本松キャンパスが無くなってしまうからだろう。六本松キャンパスが無くなっても、このカビリアに来て「帰る場所」と感じる卒業生も多いだろう。キャンパスが無くなっても、思い出のお店が変わらずあれば、ほっとするに違いない。
■九大生へのメッセージ
移転の話をしていると、「お店の前を歩く大学生がいなくなると寂しいね…」と溢された。何かメッセージをと尋ねると、しばらくして答えが返ってきた。「九州の代表、九州一よね、九大は。誇りを持って。」

マスターの正弘さんと素子さんからは、マスターの好きな音楽のように、次々に九大生との思い出や、楽しいお話が紡ぎ出る。まるでこのお店に、底のない魔法の引き出しが置かれているような気持ちだった。キャンパスから近いこのお店には、昔の思い出、今も変わらず学生を思う優しさがいっぱい詰まっている。

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(C)2008 箱崎九大記憶保存会