一 力 
■住所 : 福岡市中央区草香江2丁目2−69
■電話番号 : 092-771-7593
■営業時間 : 17:30〜25:00

■お店の沿革
 創業30年、店に入るとその長い歴史を感じさせる落ち着いた空間が広がる。店内はカウンター十数席と奥には座敷もあり、この日は座敷にもお客さんがいたらしく非常に賑わっていた。このお店の屋号である「一力」とは元々創業当初は大将一人でお店をやっていこうとしていたこともあり、一人の力、つまり「ワンパワー」を捩ってつけられたものだという。しかし現在では大将が別の仕事を持っていることもあり主に女将さん一人で店を切り盛りしている。客層は学生とサラリーマンの半々で常連さんも多いらしく、店内はお客さんと女将さんの会話が飛び交い、アットホームな非常に温かい空間だった。親元を離れて一人暮らしをする学生にとっては“癒し”の場として親しまれている。
■メニュー
 一力さんのメニューはバリエーションも豊富で非常にリーズナブル。
 メニューには焼き鳥はもちろん、ホクホクのじゃがいもの上にバターがのったじゃがバターやさっぱりといただけるスモツなど居酒屋での定番メニューが並び、焼き鳥はなんと60円からというのは嬉しい。
 「ここは客が値上げを提案するぐらいやけんね」とお客さん。そのぐらい女将さんはお客さんのことを思って安い値段でおいしいものを提供しようと頑張っていらっしゃる。
 お腹にも、そしてお財布にも嬉しいお店だ。

■九大生との思い出
 「店を始めたばかりの頃は学部生とか寮生もたくさん来よったけど最近は少なくなったね。」と感慨深そうにおっしゃる女将さん。「昔はねぇ、店に来てくれて仲良くなった学生30人ぐらいと旅行に行っていろんな人に先生と間違われたこともあるのよ(笑)」と当時のことを振り返る。また寮生とも親交が深かったらしく、「寮生はよくここで動けなくなるまで飲んで、大将が車で寮に送っていくのはしょっちゅうだったのよ。他にも店と関係なく寮に遊びに行って一緒に昼ご飯作ったり野球をしたりもしよったのよ。」
 このようなエピソードが女将さんの口から次から次へとあふれ出てきて、これまでの一力さんと九大生の「絆」を強く感じられた。
■学生の変化
 「今の学生はみんな仲良くないね。」と学生の変化に関してこう指摘する。昔は飲みの場で常連さんや他の知らない学生に会うと、すぐに打ち解けて一緒に飲んだり熱く語ったり、あるいは喧嘩したりもよくあったが今の学生はそういうことが全くないという。また面白いことに昔は「大学のカラー」がはっきり分かれていたというのだ。昔の九大生は他の西南大学などの学生に比べると黒ぶち眼鏡をかけて“いかにも九大生”という格好をしていたそうだが、「今ではみんなおしゃれになって学生が来てもどこの大学の学生か全く分からないね。」このようなお話をされている時の女将さんは昔を懐かしむと同時に少し寂しさを感じておられるようにも見えた。時代の流れからか学生は昔とは良い意味でも悪い意味でも変わってしまったのだ。

■九大移転について
 学生とサラリーマンが半々という客層から、九大のキャンパスの移転によって当然お店にも痛手はあるはずだが、女将さんのコメントは「交通費もかかってバイトもしにくくなるし学生がかわいそうよね。私も寂しいけど学生は本当これから大変ね。また卒業したら顔見せに来てね」という学生を心配するもので、ここにも女将さんの学生への気遣いが随所に見受けられた。

  伝統ある建物と女将さんの優しい人柄。そんな一力さんを学生は慕い、今までずっと通わせていただきました。お店でもお店の外でも、学生のよき理解者として、そして先輩として助言を与えてくださって本当に様々な面で一力さんにはお世話になったと思います。これからも今と変わらずずっと元気にお店を続けてください。是非また寄らせていただきます。

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(C)2008 箱崎九大記憶保存会