一 番 軒

樋井川沿いにある一番軒は40年間もの間、六本松で学生や社会人の胃袋を満たしてきたラーメン屋です。屋号は身内につけてもらったそうです。ご主人の蒲池巖さんにお話を伺ってきました。

■お店の沿革
ご主人は元々長距離トラックの運送屋だったが、父親の他界や1950年ごろのオイルショックをきっかけに自営業を始めたそうだ。1968年、ファントムが九州大学の箱崎キャンパスに墜落した頃に一番軒をかまえた。現在の場所は、オープンから数年後に移転してからのものである。一番軒のメニューは開店当初から変わっていないそうだ。
■学生の変化
「学生と話をする機会が少ないから一概には言えないけど、学生を30年見てきて、今の学生は政治に対する関心がないね。これははっきり違うところだよ。」とご主人は語った。「社会人とは毎日政治について話をするんだけど、20〜25歳の選挙率は20%ほどしかないでしょ。もちろんそれが直接、政治への関心の高さを表しているとは言えないのはわかっているんだけど。でもなんとなく、政治への関心の薄さは感じるよね。」

■九大生との思い出
「学生との思い出?そんなもんは悪い思い出ばかりさ、マナーとかね。今でも貧乏な学生もいるけど、見苦しさを見せてはいけんと思うよ。」とご主人は貧乏な学生が大盛りのご飯におでんのつゆをかけて食べていた話をしてくれた。「そんな見苦しいことをしなくても、コンビニでパン、おにぎり、牛乳を買って食べたらいいのにね。その学生に『見苦しい。』と注意したら、もちろんその学生はもう来なくなった。」とご主人は語った。
またご主人は、昔ラグビー部には盛りだくさんの料理をふるまってあげていた話や、最近では韓国や中国からの留学生がよく店を訪れているという話もしてくれた。

■九大移転について
「今の学生は大体天神で遊びよると思うよ。」と、ご主人は今の九大生があまり六本松で遊んでいないことを指摘した後で、「私があと何年商売できるかわからんけど、大学が伊都に行くことに寂しさはあるね、やっぱり。でも、大学の次にできるものに期待したい。」と大学移転に対する寂しさ、期待を語った。
■九大生へのメッセージ
「新聞をしっかり読んでください。」「世界を勉強しなさい。中東とか。」厳しい時代の中、長距離トラックの運転手や自営業で生計を立ててきたご主人は、次世代を担っていく九大生にもっと政治や社会に関心を持ってほしいと熱く語った。「危機感を感じていない若者が親になったら、その子どもも危機意識を持たないまま勉強だけできればいいと思ってしまう。でも親が社会の現実を直視していなければいい教育はできない。」ご主人の一言一言には九大生への厳しさと期待が溢れていた。



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(C)2008 箱崎九大記憶保存会