李 華
■■住所 : 福岡市中央区六本松2丁目3-5
■■電話番号 : 092-741-7657
■■定休日 : 水曜日
■■営業時間 : 12:00~22:00(15時頃から途中休憩をはさむ)
李華のレバニラ炒めは、レバニラが苦手な人にこそ食べて欲しい。
レバー独特の臭みを消すために丹念に仕込みをした素材は、ご主人の手によって中華鍋の中で程よいこってり目に味付けされ、あつあつの状態でテーブルの上に出される。スタミナたっぷりの一品は、白いご飯との相性も抜群だ。
時にはレバニラファンの常連さんが次々と来店されて、オーダーが重なる時もある。目が回るような忙しさの時でも、奥さんとご主人が呼吸をぴったりと合わせて、難なく乗り切ってみせている。
いつでも、ほっとくつろげる場所を作ってくださる李華は、九大生たちにとっても例外なく、憩いの場となっていた。
レバー独特の臭みを消すために丹念に仕込みをした素材は、ご主人の手によって中華鍋の中で程よいこってり目に味付けされ、あつあつの状態でテーブルの上に出される。スタミナたっぷりの一品は、白いご飯との相性も抜群だ。
時にはレバニラファンの常連さんが次々と来店されて、オーダーが重なる時もある。目が回るような忙しさの時でも、奥さんとご主人が呼吸をぴったりと合わせて、難なく乗り切ってみせている。
いつでも、ほっとくつろげる場所を作ってくださる李華は、九大生たちにとっても例外なく、憩いの場となっていた。
■九大生とのお付き合い
「九大生とは、ほんとに仲良くしてたよ」お二人とも、口をそろえてそう言った。お店を始められたのは、昭和47年頃。ご主人、奥さん共に27、8歳の頃で、六本松で教養を学ぶ20歳前後の学生たちと、共有できる趣味が多かったそうだ。お客さんと店主という立場を超えた、まるで「身内のような」付き合いは、多くの楽しい想い出を残していた。
「学生たちを自宅まで呼んで、レコードかけて聞いたり、雑魚寝したり…」
「病気でお店まで来られない子のために、お店が終わった後、下宿までチャーハン届けに行ったこともあったね」
「銭湯に行ってから帰りに食べていく学生さんのために、昔は夜12時くらいまで空けてたね。当時はコンビニもなかったからね。毎日、学生のたまり場になってたよ」
そんな付き合いは、学生が大学を巣立った後も続いている。
「仲良くしていた学生さんの結婚式にも呼ばれたりして。佐賀まで行ってきたこともあったよ。その人からは、いまだに年賀状が来るのよ」
家族連れで李華を訪れてくれる卒業生達も、後を絶たないと言う。
■単位獲得騒動
親しくなればなるほど、親身になって学生たちの面倒を見たくなってしまう。人情あふれる李華には、こんな面白い出来事があった。20年ほど前のこと、李華で雇っていた九大生のアルバイトの男の子が、「教授から単位がもらえなかった。卒業できないかもしれない」と泣きついてきた。いたたまれなくなったご主人は、すぐさま彼をバイクの後ろに乗せて、「鳥飼のあたり」にあるというその先生の自宅を、しらみ潰しに探して回った。緊張のあまり、教授への手土産を何も用意していなかった学生のため、その場でお酒を一本購入して、しっかりと持たせてやることも忘れなかった。そして、九大の教授陣の中でも、簡単には単位を出さないことで恐れられていた教授を前に、学生と一緒に、深々と頭を下げたのだった。
結果は、「合格」。ご主人の心遣いで、ひとりの学生が救われたという、心温まるエピソードだ。
■九大祭の思い出
普段は学生たちのお腹をいっぱいにしてくれている李華だが、九大祭の時だけは、お楽しみが待っている。「学園祭のときには、学生さんたちが食券を売りに来るから、わたしたちもお客さんとして行くのよね。いつもは向こうがお客さんだけど、その時だけは、こっちがお客さんになって」
「作ったやきそばを、わざわざ差し入れで店まで持ってきてくれることもあったね」
もちろん、客として楽しむだけでなく、祭りの運営のサポートに回ることも忘れてはいない。
「ラーメンの出店出す子が、『ラーメンの作り方教えてくれ!』って、頼みに来たこともあったよ」
「出店の備品が足りない時は、うちの店のイスやらテーブルやらを貸してあげたりもしたね」
李華のご主人と奥さんが馴染みの学生たちを訪ねに行くのは、決まって店じまいをした後、夜10時、11時頃だった。その頃には学祭もお開きとなって、人気のないグラウンドを見て回るだけなのでは、と思いきや、
「もう、ディスコ状態だよ(笑)」
後片付けを放り出した学生たちが、夜中までどんちゃん騒ぎを繰り広げ、いつ見ても飽きることがなかったそうだ。
■九大移転について
「寂しいですね」と、一言。今まで、学生との深い付き合いがあった分、その存在がなくなってしまう切なさは、計り知れないものだろう。「六本松に見えた時は、是非うちに遊びに来て、話をして行ってくださいね」
今は学生とも年が離れてしまって、昔のように親しくなるのは難しい、とこぼされていたご主人だが、九大生たちと仲良くなることを楽しみしている気持ちは、今もちっとも変わっておられない様子だ。若い学生たちの笑顔に会えるのを、李華はいつも楽しみに待っている。