太 春 
■住所 : 福岡市中央区六本松2-10-20 
■電話番号 : 092-781-3747

六本松キャンパス正門を出てまっすぐに行ったところに趣のある二階建ての居酒屋があります。それが居酒屋の太春です。営業時間は18:00〜25:00です。太春の大将にインタビューをしてきました。

■お店の沿革
太春は昭和45年から約40年間六本松で営業を続けている居酒屋である。太春という屋号は拝み屋につけてもらったものだという。オープン当初は運動部が多く、先輩と一緒に来ていたそうだ。また20年前には店の作りを改装して2階を20名ほどが入れる座敷にした。卓球部は長い間ずっと関係があるらしく、もう定年になる客もいるそうだ。またおかみさんが体調を崩された15・6年前からバイトを雇い始めた。バイトは田島寮の1・2年生で、自分が辞める時に次の後輩を紹介していくという。人気メニューはオリジナルの「青じそ梅かしわ」ともつ鍋、ホルモンだ。メニューは開店当初から変わっていない。昔は一般客と学生の比率は6対4ほどだったという。現在学生は昔ほど多くはないそうだが、主に運動系サークル、田島寮のメンバーが訪れるという。
■九大生との思い出
九大生との思い出を尋ねると、大将は「あ〜いっぱいあるけど…」と少し考えた後、「そこの封鎖、学生運動たいね。なんていうかな〜。東大が一週間もったっていうけん、頑張ってみたけど九大は2日しかもたんやった(笑)催涙弾とかで目が痛かったねぇ。立てこもった連中も来よったよ。」と、学生運動の話をしてくれた。
「出世払いみたいなのもおったけど、ちゃんと出世払いしにきたもんね。」と、大将は昔の九大生を思い出して話してくれた。「飲みにっていうよりご飯食べにね(来よった)。『足りんかったら出世払いで』って。えらくなっとるよ〜そんな人は。あの頃は家がお金のない学生が多かったろ?苦学生が。今は銭持っとるもん。」大将は懐かしい思い出と共に、学生の変化についても教えてくれた。
■田島寮生のバイト
田島寮生のバイトはおかみさんが体調を崩された15・6年前から始まったという。大将がよく店に来ていた田島寮生に、バイトを頼んでから自然と代々田島寮生のバイトが続いてきた。バイトは3人で、一人週2回の勤務だ。時間は基本的に19時から23時までだが、忙しいときは延長も頼むという。
寮生は太春でのバイトを通して多くのことを学んでいく。その一つが見ず知らずの人と話ができるようになることだ。さらに会話を続ける「もう一言」が言えるようになるという。「例えばさ、お客が『兄ちゃん、どこの出身ね?』って聞いてさ、バイトの兄ちゃんが『長崎です。』って答えるやろ。普通これで終わってしまうんよ。でもそれでは会話が終わってしまう。そこでもう一言、『長崎、ご存知ですか?』とか『行ったことありますか?』とか言えれば、会話が続くやろ。」
寮生がここでのバイトで学ぶことは会話のスキルだけではない。人と関わっていく中で必要な心遣いも学んでいく。一度、バイト生の親が「いい教育をしてくれてありがとう」とお礼を言いにきたことがあるという。話によると「ありがとう」「お疲れさま」などの挨拶、食事の後片付けが当たり前にできるようになったそうだ。
「一年生の5月の連中で親がびっくらこくっちゃけん。」と大将はバイト生の変化を教えてくれた。しかしその変化の裏には、大将からの愛の鞭があるようだ。大将はバイト生に対して、ガツン!!と注意をすることがあるという。親心がそうさせるそうだ。大将が強く注意すると、お客が「素直に聞いとき!社会ははそうじゃき!」とフォローを入れることもあるという。そして多くの学生がこの厳しくもやさしい愛情を理解して、巣立っていくそうだ。
■九大生のイメージ
「秀才。やっぱ九大生やけん。うちに来とるのは特にいい。一言で言うと『いい人間』やね。やけん、快く出世払いを受け入れとる。」大将は九大生の人柄の良さをほめてくださった。
■移転
「決まったことやけんしゃーないっちゃけど、寂しい。九大あっての六本松やったけんなぁ・・・移転はさみしい、やっぱね。もう二度と戻って来んちゃけんなぁ。六本松に用事がなくなるとやけん。」「六本は九大あっての六本松。移転したらみんな寂しがるんやないと?」大将が何度も繰り返した「九大あっての六本松」という言葉が、九大と六本松の結びつきの深さを物語っているようだった。
「わがままをいう子がいなくなるのがさみしい。九大が箱崎・伊都に移転したら、六本松に用事がなくなるやろ。六本松は素通りしてしまう。『しっかり』寂しくなる。顔出しがなくなって来るよね~。」大将は町から学生が居なくなってしまう寂しさを語ってくれた。

■学生の変化
九大生の変化について尋ねると、ご主人は少し考えて、「時代の流れと思うけど、昔の学生には素朴さがあって、ぶっきらぼうで、甘えや純粋さがあった。今の学生は賢くなったよね。自分を表に出さなくなった。自分をさらけ出すのは仲良くなってから。」「昔はみんな自分の子供みたいに声をかけたりしてたけど、今は1つ線をひかれました。でも私が学生の地元のことを知っているとなつくのが早いんですよ。その点では今まで営業をしていてよかったと思いますよ。地元をしていることに対して親しさがあるんでしょうね。まず出身地の話をして、それから音楽の話をするんですよ。」と話し、かつて繰り返されていた学生とのやり取りを回想した。「昔はベスト盤なんてなかったので、学生がよくどんな音楽を聴けばいいか尋ねてきていたんですよ。だから『これを聞いてみたら?』と指導するんです。そしたら学生が『この前のはよかった。』と感想を言ってくれる。それがうれしいんです。」
■九大生へのメッセージ
「一生懸命勉強してほしい。OB、九大生としての誇りを持って。」と、大将は九大生と卒業生に熱いエールを送ってくれた。


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