(特集)怪人二十面相が居た箱崎 - 佐藤嗣麻子監督への質疑応答-
佐藤監督(右)と有川総長(左)
「K−20 怪人二十面相・伝」公開に先立ち、2008年12月16日、九州大学創立五十周年記念講堂にて九州大学学生を対象とした試写会が行われました。
本ページでは、試写会会場で実現した佐藤嗣麻子監督によるティーチインの様子を一部ご紹介します。
Q1.九州大学をこの映画のロケ地に選んだ理由は?また、その魅力とは?
A1.
この映画は1949年の架空都市・帝都を舞台にしているので、もちろん近代的なものがあるといけないというのがあります。その点、九大(箱崎)には古い建物が多く、その周囲にも目立つような近代的なものがありません。[学生・職員(笑)]それだけじゃなくて、九大の建物というのは、近寄ってみるとディティールも凝ったものが多く、寄った映像でもきれい。そこも映画には適しているし魅力でした。
Q2.この映画を撮るにあたって、苦労した点は?
「正門はいってすぐの建物」(Q3より)
A2.
この映画は北村想さんの「怪人二十面相・伝」という本が原作で、そこから脚本を書いたんですが、この北村さんの原作が長い!怪人二十面相の裏話が書かれているんですが、2巻あって大河ドラマならちょうどいいんじゃないかっていうくらい長いんです(笑)。それを約2時間にまとめるのが一番大変でした。それから、エグゼクティブプロデューサーの阿部さんという方がいらっしゃって、その方がいわゆる天才肌のプロデューサーで。色んなことを急に思いつくんです。例えば、いきなり「第二次世界大戦が無かった世界なんだよ」とか。「でもそれは原作とは全然違うんですけど」というと、「そんなのいいんだよ!」って(笑)。で、分かったからじゃあ詳しく説明してくださいっていうと、天才のひらめきなのでその時点では説明ができない… (笑)。そういう原作と全く違う難題を出されて、それを一つの形にするのが大変でした。脚本を書くだけで1年くらいかかりましたね。40稿くらい書きました。
※ 連続ドラマの脚本1稿(1話分)は約1週間で書く。ちなみに、時間がなくなってきたりクライマックスのころになるとそれを3日とか1日で書くようになる。
Q3.全然気づかなかったが、いつの間に撮影していたのか?
「陸軍局情報研究所」周辺(Q3より)
A3.
(2008年)1月22日に1回撮りました。これは、平吉(金城武)と葉子(松たか子)が二人で軍警から逃げる場面です。
二人が路地から跳んでビルの屋上に着地するシーンと、そのあとまた路地に飛び降りるシーンですね。
夜撮ったんですけど、あれは九大の正門はいってすぐの建物ですよ。
それと3月14日〜19日にも撮影しました。
その時は、昼間に陸軍局情報研究所の中と外のシーンを撮りました。
※ 撮影された建物の詳細は こちら をご覧下さい。
Q4.地域住民とのトラブルは?
A4.
特になかったです。クレーンをたくさん使ったので、撮影に気づいてる人もいるかな〜とは思ってましたけど。私にまでトラブルの情報が届いてなかっただけかな(笑)?でも、優秀な福岡のフィルムコミッションの方の協力の下に撮影してますので、無かったと思います。フィルムコミッションの方々に改めてお礼を申し上げます。地域住民とのトラブルではないですけど、飛行機!九大の近くって飛行機がすごく飛ぶじゃないですか、あれには悩まされました。[学生・職員一斉に頷く]音を録るときにその飛行機の音が入って使えなくなったり中断されたりして苦労しました。だから実は仕方なくアフレコにした部分もあるんですが、なるべく生の音を使うようにしました。
でも録音の方が飛行機に詳しい方で、その人は飛行場の無線を聞いて次はナントカっていう飛行機がくるぞ!と、逆に楽しんでましたね。
Q5.実はどこで九大がでてきたのか分からなかったのですが…
A5.
基本的にはQ5.で言った箇所です。陸軍情報局の部屋の中と、その前の廊下、それから平吉が飛び出していった外の場面も九大です。ちなみにあのシーンみたいにCGにみえるような激しいアクションも、ほとんど実際にやってるんですよ。
あ、そういえば、撮影しようと思って九大に来たら、スタッフが「小道具が落ちてるよ」って封筒を拾ってきたんです。(映画に出てくる)怪人二十面相からの、あの手紙です。小道具じゃないぞって開けてみたら『○○教室へ来い』って書いてあって、スタッフみんなで遊びにいったら、その教室の黒板に『ようこそ九州大学へ』って書いてあって、本当に心が和みました。あれはスタッフにとってはすごく嬉しい出来事でしたね。もしお友達とかでそれをやってくれた人がいたら、ありがとうと伝えてください。
(後に、福岡のフィルムコミッションの方と、そこで働いているボランティアの方々だという噂を耳にしました。本当にありがとうございます)
Q6.九大生に一言。
A6.
ぜひ劇場に足を運んで、もう一回観てください。今度はどこで九大が出てくるのを確かめながら観るっていうのと、まだ観てない友達と一緒に観るっていう意味で。よろしくお願いします(笑)。